「マリナーズ３-６レッドソックス」（23日、シアトル）

　マリナーズのイチロー外野手（３４）はレッドソックス戦で１安打し、日米通算３０００安打にあと５本。城島健司捕手（３２）は無安打。レッドソックスの岡島秀樹投手（３２）は２／３回を無失点だった。

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　イチローが華麗に跳んだ。三回の守備。見送ればホームランになっていたドルーの飛球にジャンプ一番。フェンスに首を打ちつけながら目いっぱいに伸ばしたグラブにボールを収めた。

　総立ちの客席。悔しがる相手打者。興奮が渦巻く中、イチローはポーカーフェースを貫いた。「捕った後にどれぐらい感情を抑えられるか。そこで抑えられると気持ちいい。思わず、喜びが出るとつまらない」。人知れず、快感に浸った。

　打っては、一回の左前打で日米通算２９９５安打。節目の数字まであと５本としたが、「そんなに近くないよ」と１本打つことの難しさを改めて強調。早く到達したい気持ちがある一方で「じらした方が気持ち良かったりするでしょ、っていうのは後から思ったりもする」と表情を緩めた。

　この日、ネット裏には日本から応援に駆けつけた母・淑江さんの姿があった。かつてイチローは「その瞬間にしかいられない人がいる。その人のために何かを見せてあげたいと思うのは当然です」と話したことがある。年に１度の“母親参観”。超美技と２９９５本目の安打。いい親孝行になったに違いない。

　右肩痛で出場選手登録を抹消された楽天の田中将大投手（１９）が２３日、仙台市内の病院で精密検査を受け、「右上腕二頭筋長頭の炎症」と診断され、「腱板（けんばん）に軽度の炎症と関節唇に少し傷がある。全体としてそう重くない」という。２４日から練習を行うが、３日間はノースロー調整する。田中はオールスターと、北京五輪日本代表に選出されている。野村監督は「オールスター、五輪は無理じゃないか。岩隈が持って行かれる可能性が大。田中は徐々にやらせないと」と話した。

　楽天はともに今季ワーストの１６安打１４失点の大敗。今季最多の借金６で４月１０日以来７３試合、１０３日ぶりの最下位転落だ。試合後、穏やかに試合を振り返っていた野村監督だったが順位に話題が及ぶと突然、声を荒らげて会見を打ち切った。

　「順位？それは関係ない。オレたちはチームを立て直すことを考えてやっている。首位争いやっているならいいけど、下位にいて順位なんて気にしていません！」

　試合前に田中の右肩痛が判明。２３日にも出場選手登録を抹消する。「あとは片山、長谷部に期待だな」と言った野村監督の願いはあっさり裏切られた。プロ３度目の先発、長谷部が最短の２回途中７失点で２敗目。その２回になんと１１点を失った。プロ初勝利が遠い長谷部は「精神的なものですね。明るい話題をと思っていたんですが、申し訳ありません」と“田中ショック”を振り払えず肩を落とした。打線も２回、草野の１号２ランで一度は逆転したが３回以降は１安打と涌井にひねられた。

　７月は４勝１２敗２分けで早くも負け越しが決定。２カ月連続負け越しで最下位、さらに田中故障と今季９０試合目は悪夢の連続となった。「椅子を蹴っ飛ばして帰りたい。いいやろ。話すことはないよ」。打つ手なし。さすがの野村監督もぼやく気力すら喪失した。

　北京五輪日本代表ＧＫ西川周作（２２）が、２３日に合宿中の神戸から東京に“出頭”し、大分の溝畑社長とともにＪリーグから事情聴取を受けることになった。２０日の磐田戦で故意に警告を受けたとする内容の文章を自身のブログに書き込んだ件について、羽生事務局長は「Ｊリーグはフェアプレーを標ぼうしているし、ｔｏｔｏの対象団体でもある。イエローカードを操作したとしたら大きな問題」と話した。

　Ｊリーグは３月に選手協会に対し、ブログによるトラブル防止を目的とした１０カ条からなる小冊子を配布。６月の臨時実行委員会では各クラブの社長に選手のブログの管理を注意したばかりだった。それだけに、事情聴取後に裁定委員会に諮り処分が下される可能性もある。西川は「軽率なことをしたと思っています。自覚を持って言動には気をつけたい」と神妙に話した。

　磐田のＧＫ川口が後半２８分に負傷交代した。後半２４分、バウンドしたボールを捕ろうと前に飛び出した際、大分のＦＷウェズレイが出した右足とあごが接触。ボールがこぼれ、同点弾を許した。川口は下あごから大量出血し、八田と交代。「あのプレーは選手生命にかかわりますよ」とぶ然として救急車に乗り込み、口の中を４針縫った。「スパイク（の歯）が当たった音がした」と話す選手もおり、クラブは週明けにＪリーグに意見書を提出する方針だ。